【登辞林】(登記関連用語集)


[め]

名義書換代理人 会社法(平成17年7月26日法律第86号、平成18年5月1日施行)施行前の、改正前商法に規定されていた、株主名簿株券喪失登録簿端株原簿新株予約権原簿社債原簿の名義書換の事務を行う者。会社法においては、株式に関する事務を取り扱う者として「株主名簿管理人」が定められ、株式会社が株券発行会社であるときは、株券喪失登録簿に関する事務も取り扱い、新株予約権を発行している場合においては、新株予約権原簿に関する事務も取り扱う(会社法第123条、第222条、第251条)。社債についての名義書換代理人は、会社法においては、「社債原簿管理人」とされた(会社法第683条)。会社法施行の際、現に存する株式又は新株予約権についての名義書換代理人は、会社法施行日以降、株主名簿管理人とみなされ、社債についての名義書換代理人は、社債原簿管理人とみなされる(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第80条第2項、第3項)。

明認方法 樹木・果樹などの所有権を土地の所有権から独立して公示する方法で、判例上認められているもの。立て札を立てる、樹皮を削って所有者名を書くなどの方法があり、第三者に対抗するためには、第三者が現れたときまで明認方法が継続していることを要する。慣習法上、認められている温泉権(湯口権)につき、第三者に対抗するには、明認方法が必要だとした判例がある。樹木に関する権利の公示方法としては、この明認方法の他、立木ニ関スル法律(明治42年4月5日法律第22号)の規定による立木の登記があり、同法の規定により所有権保存登記を経ると、当該樹木は不動産とみなされ、抵当権を設定することができるようになる。

名誉毀損 (1)民法上、他人の社会的評価を侵害・毀損することで、不法行為となる。他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる(民法第723条)。この名誉を回復するのに適当な処分として、出版物の差止請求や、謝罪広告等がある。法人に対する名誉毀損も認められる。
(2)刑法上の名誉毀損罪。

名誉毀損罪 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損することにより成立する罪。人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処される(刑法第230条1項)。
この行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合に、真実であることの証明があったときは処罰されない(刑法第230条の2第1項)。公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなされる(刑法第230条の2第2項)。この行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合に、真実であることの証明があったときは処罰されない(刑法第230条の2第3項)。
名誉毀損罪は、親告罪である。

滅失登記 建物が、取り壊しや焼失等により、消滅もしくは建物といえない状態になった場合、または土地が海没等により物質的に存在しないものになったときにする登記で、これにより登記簿が閉鎖される。表題部の所有者又は所有権の登記名義人は、土地又は建物が滅失した日から1ヶ月以内に、当該土地又は建物の滅失登記を申請しなければならない(不動産登記法第42条、第57条)。登記簿上残存しているが実際には存在せず、名義人の行方も知れない建物の滅失登記については、土地の所有者等、利害関係人はその申出をすることができる。
自己名義の建物であっても、差押えや、抵当権地上権などの物権を負担しているものを、債権者や物権者の承諾なしに取り壊すと、器物損壊罪が成立する。(刑法第261条、第262条)

免除 (1)債権者が債務者に対してする、無償で債務を消滅させようとする意思表示(民法第519条)。債権の放棄とほぼ同義で、債権者の単独行為であり、債務者の承諾は不要とされる。連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる(民法第437条)。
(2)納税、試験などの義務や要件を解除すること。

免責的債務引受 債務引受の方法のうち、債務が、原債務者から引受人に移転し、爾後、引受人のみが債務を負担するもの。免責的債務引受は、債権者、債務者、引受人の三者間の合意(三面契約)によるもののほか、債務者の意思に反しない限り、債権者と引受人間の合意でもなし得、又、債務者と引受人間の合意によるものも、債権者の追認により効力を生じる。債務者が従来有していた抗弁権も引受人に移転するが、取消権や解除権は引受人に移転しない。保証債務も、保証人の同意がない限り消滅する。物上保証も同様である。(→重畳的債務引受

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